「公正な価格」の今後の動向
2017年4月21日号(「公正な価格」を考える42号)
弁護士・公認会計士 片 山 智 裕
あとがき
法律会計フォーラムでは,著書やセミナーにおける皆様からの反響や質問をフィードバックし,2016年3月1日から“「公正な価格」を考える”というテーマを連載し,株式の「価格」と「価値」はどのような関係にあるかや,会社法や税法との関係で「公正な価格」の位置づけを考察し,「公正な価格」の基本的な考え方と判断枠組みを解説してきました。
近時,この分野における最高裁判例の集積は目覚ましく,このブログの連載中にも,平成28年7月1日付け最高裁決定が出されるなどして,「公正な価格」の判断枠組みは,次第に精緻なものに整備されてきています。今後,「相互に特別な資本関係がある会社間」の組織再編や,「売り手又は買い手の多数株主と少数株主との間に利益相反関係が存在する場合」の取引について,組織再編や取引の類型ごとに「一般に公正と認められる手続」の内実が明らかになっていくものと考えられます。
末筆ながら,この分野における更なる議論の発展を祈念いたします。
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