譲渡等承認請求の方式について、法令による制限はなく、口頭・書面・電磁的方法(電子メール等)のいずれの方式でもできます。
しかし、譲渡等承認請求は、法律行為(意思表示)であり、売買価格決定申立事件(非訟事件)や後日の紛争に備えて、その内容と到達の事実を立証する必要があるため、実務では、一般に配達証明付き内容証明郵便によって行います。
譲渡制限株式は、発行会社の承認手続を経ない限り、発行会社との関係で株式移転の効力が生じません。後日、株式移転の効力が争われる場合があり、発行会社の承認手続を立証するためには、発行会社から受領した承認決定通知書(会社法139条2項)を保存しておく必要があります。それがない場合(発行会社が承認手続を行わなかった場合も含まれます。)には、上記1⑴または⑵の①~③の記載事項を内容とする意思表示が到達した事実・時期を立証し、後述する“みなし承認”の法律効果が発生したことを明らかにする必要が生じます。
逆に、不承認の場合に株式の買取りを請求するためには、上記1⑴または⑵の①~③のほかに④も記載されている意思表示が到達した事実を立証する必要が生じます。
このような立証のためには、配達証明付き内容証明郵便が最も適切な証明手段になります。意思表示の受領権限のある代表者(代表取締役)を宛先にした内容証明郵便が発行会社の本店所在地に配達された事実を立証すれば、証明された内容の意思表示が発行会社に到達したことになります。これに対し、口頭による譲渡等承認請求は、その内容や代表者に到達した事実の立証自体が困難です。また、電磁的方法による譲渡等承認請求も、代表者の支配管理領域に到達した事実(たとえば、メールを受信した事実)を立証することが容易でない場合があります。
このように、譲渡等承認請求は、実務上、配達証明付き内容証明郵便を利用します。