譲渡制限株式の移転については、株券発行会社かどうかによって、株式譲渡の方法と会社に対する株主名簿の名義書換請求の方法が異なります。
株券発行会社とは、その株式に係る株券を発行する旨の定款の定め(会社法214条)がある株式会社をいいます(同法117条7項)。会社法が施行された平成18年5月1日以降、株式会社は、原則として株券不発行会社であり、例外として定款に定めたときにだけ株券発行会社になり、その定款の定めは登記事項とされています(同法911条3項10号)。
会社法施行時に存在していた既存の株式会社は、株券を発行しない旨の登記がある場合を除き、株券発行会社であるとみなされ、その旨が職権で登記されました(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律・旧76条4項)。中小企業の中には、会社法施行後に株券を発行する旨の定款の定めを廃止する手続(会社法218条)を履践しておらず、依然として株券発行会社である会社も少なくありません。
このように株券発行会社かどうかは、株券発行会社であるとみなされる場合があるので、会社の定款ではなく、会社の登記情報を取得することにより確認します。
株券発行会社の株式の譲渡は、その株式に係る株券を交付しなければその効力を生じません(会社法128条1項)。そのため、株券を所持する者は、法律上、有効に株式を取得したと推定され、株券発行会社の譲渡制限株式の譲受人は、会社の承認を得た後であれば、譲渡人と共同でなくとも、会社に株券を提示して単独で株主名簿の名義書換を請求することができます(会社法施行規則22条2項1号)。
これに対し、株券不発行会社では、意思表示(譲渡契約)だけで株式を移転することができます。株券不発行会社の譲渡制限株式の譲受人は、会社の承認を得た上で、原則として、株主名簿に記載・記録された株主(譲渡人)と共同して会社に株主名簿の名義書換を請求しなければなりません(会社法133条2項)。
なお、実務上は株価評価を無料で実施しているわけではなく、調査対象となる資料や企業規模によって費用や期間が大きく異なります。適切な算定を行うためには、専門家への早期の相談が重要です。
次回は、譲渡等承認請求の手続について解説します。