譲渡制限株式とは、発行会社が譲渡による取得について発行会社の承認を要する旨の定款の定めが設けられている株式をいいます(会社法2条17号)。
譲渡制限株式の移転については、発行会社の承認手続を経ていない場合、当事者間では効力が生じますが、発行会社との関係においては効力を生じません。当事者間で効力を有する法律関係を第三者に主張するための要件を対抗要件といいますが、当事者間で効力を有する譲渡制限株式の移転について、発行会社の承認手続は、第三者(発行会社)に主張するための対抗要件ではなく、発行会社との関係における効力発生要件になります。
譲渡制限株式制度の趣旨は、専ら発行会社にとって好ましくない者が株主となることを防止し、譲渡人以外の株主の利益を保護することにあります。そのため、株主全員が同意した場合には、発行会社の承認手続は必要ありません。
他方、発行会社の承認手続を経ずに譲渡制限株式を譲渡しても、発行会社との関係ではその譲渡は無効であり、発行会社は、代表取締役であっても、定款が定める承認機関(株主総会や株主総会で選任した取締役で構成される取締役会)の承認手続を経ずに譲受人を株主と認めることは許されず、依然として譲渡人(株主名簿に記載・記録されている株主)を株主として取り扱う義務があります。
このように、譲渡制限株式を譲渡する当事者が発行会社の承認手続を経ることは、発行会社との関係で株式移転の効力を発生させるために不可欠な重要な手続になります。発行会社の承認手続は、対抗要件ではないため、発行会社の代表取締役が認めているからといって省略することができないことに注意してください。