発行会社が譲渡制限株式の譲渡等を承認するか否かを決定したときは、その決定内容を譲渡等承認請求者に通知します(会社法139条2項)。代表取締役がこの通知を怠ったとき、または不正の通知をしたとき(たとえば、承認機関の決定がないにもかかわらず、決定内容を通知したとき)は、過料の制裁に処せられます(同法976条2号)。
通知の方式に法令上の制限はありませんが、譲渡等を承認しない旨を通知する場合には、譲渡等承認請求の到達日から2週間以内に譲渡等承認請求者に決定内容を通知したことを立証できるように、配達証明付き内容証明郵便を利用することが適切です。ただし、一般書留である内容証明郵便は、昼間帯に宛先に配達を試みて、不在の場合には不在配達通知を差し入れ、郵便物自体は郵便局に持ち帰って保管するので、その後、譲渡等承認請求者が直ちに再配達を申し出るとは限らず、譲渡等承認請求者の支配管理領域に到達しないまま、譲渡等承認請求の到達日から2週間を経過し、譲渡等を承認したものとみなされる(1号みなし承認が成立する)おそれがあります。
そこで、実務では、譲渡等承認請求の到達日から2週間以内に譲渡等承認請求者の住所にある郵便受けに投函されるように、内容証明郵便と同時に発送した旨の記載・記録のある同一内容の特定記録付き普通郵便も併せて同時発送しておくのが通例です。
他方、発行会社が譲渡等を承認する旨を通知する場合には、1号みなし承認の成立を阻止する必要がありませんので、内容証明郵便・普通郵便を同時発送する必要はありません。
なお、決定内容の通知と株式買取り通知を1通の書面で通知することも少なくありません。
次回は、発行会社が譲渡等を承認せず、譲渡等承認請求者から株式を買い取るための手続(株式買取手続)について解説します。