「収益認識の契約法務」~契約法と会計基準の解釈・適用~
収益の“認識”に影響する法規定や論点を整理し,契約条項の解釈や作り方を詳解
著 者:弁護士・公認会計士 片山智裕
発行所:中央経済社
現在,我が国では,企業会計基準委員会(ASBJ)がIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」をコンバージェンスし,収益認識に関する包括的な会計基準を開発しています。この会計基準が公表されると,会社法で作成が義務づけられる計算書類に適用されますので,上場企業だけでなく,非上場企業を含む日本国内の株式会社が,この会計基準の適用開始に向けて顧客との契約を見直し,企業内の体制を整備するという課題に直面しています。
国際財務報告基準(IFRS)第15号「顧客との契約から生じる収益」は,法律制度(裁判制度)において強制可能な権利・義務を生じさせる“契約”に焦点を当て,企業が顧客との“契約”から生じる権利(資産)又は義務(負債)の変動(発生・消滅)に伴って収益を認識するという原理を採用しています。企業の法務担当者や企業法務を担う弁護士は,これからは,法的紛争の予防だけではなく,収益認識も考慮して支援,助言することが必要になってきます。また,企業の財務担当者や会計監査人は,新しい収益認識基準を適用するにあたって,契約法の素養を身につけ,どのように契約が成立し,契約条項が解釈され,法律上の強制力を伴うのかを判例や裁判例の状況も含めて理解しておくことが求められます。
こうした見地に立って,本書は,法律(契約)の観点から,収益認識に影響を与える法規定や論点を解説し,契約条項の解釈や作り方に関する留意点を助言し,契約実務を支援することを目的としており,一般的な会計基準の概説書とは異なる独自の観点と体系から構成されています。本書が,契約法(法律)と収益認識基準(会計)が交錯する領域を取り扱う専門書として,法務担当者や法律の専門家にとっても,また,財務担当者や会計の専門家にとっても,互いに他の専門分野を理解する手がかりとなり,企業の契約実務に携わる皆様の一助となれば幸いです。
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