資料版商事法務 454(2022.01)号

連載「会社法に基づく計算関係の実務の要点」

第1回 株式会社をめぐる財務内容の開示制度

 

 株式会社の計算に関する目的は,分配可能額の算定と会社の財務内容の開示である。上場企業の財務部門は,定時株主総会に向けて,(連結)計算書類だけでなく,(連結)財務諸表や決算短信も作成する。企業の財務部門の担当者が会社法に基づく計算関係の実務を把握するためには,株式会社をめぐる財務内容の開示制度全体を概観し,会社法に基づく(連結)計算書類の位置づけを理解する必要がある。

 そこで,第1回では,「開示」を,公衆縦覧(公告)だけでなく,株主に対する提供や提出,備置,閲覧等を含む広い概念と捉えて,株式会社をめぐる財務内容を中心とする開示制度について概説する。企業の財務部門の担当者として必須の知識である企業の財務計算の書類のほか,その周辺に位置づけられる決算公告制度,計算書類・会計帳簿の閲覧等の制度,内部統制報告書制度,適時開示制度,法人税法が定める定時株主総会後の提出・届出・開示など,企業の管理部門全般(総務・法務)の担当者も知っておくべき基礎知識を整理する。

 

     

 

[ 目 次 ]

 はじめに

 第1 株式会社をめぐる財務内容の開示制度の概要

 第2 会社法が定める財務内容を中心とする開示制度

 第3 金融商品取引法が定める財務内容を中心とする開示制度

 第4 有価証券上場規程が定める財務内容を中心とする開示制度

 第5 法人税法が定める定時株主総会後の提出・届出・開示 

投稿者: 片山法律会計事務所